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大学教員として生きる道

著者は私大の准教授です。大学教員になるまでの経緯、日常の出来事などを記録します。

大学教員の夏休みⅡ

5年前の夏休みの以下の記事を書いたが,改めて夏休みの過ごし方について整理したいと思う.

 

www.daigakukyoin.com

 

大学教員にとって,最も大切な能力は自己管理能力だと思う.

すなわち,自分自身でやるべき仕事(テーマ)を見つけることが,重要だ.

 

やるべき仕事をみつけるということは,教員のみならずあらゆる職種で必要とされる能力だろう.言われたことや,決められたことをこなすだけであれば,猫でもできるのである.例えば,大学教員を何年もやっていると,毎年同じ授業をして,成績を付けて,入試を行って,学生相談を受けて,と仕事が毎年,徐々にルーティン化してくる.必要最低限のルーティンをこなすことは大事なのだが,それだけでは変化する社会のスピードについていけなくなる.

ではどうやってやるべき仕事をみつける能力を高めるのか,或いはA,B,Cと3つやるべき仕事があって,何を優先すべきなのであろうか.時間は有限なので,何をするのかはセンスが問われるが,そのセンスはどうやって磨くべきなのかが重要だ.

 

最近,感じることは「(本気で)遊ぶこと」って結構,重要なのではないかと思う.

本気で遊ぶためには,それなりに時間をかける必要があるし,時間だけではなく情熱,お金,知識,友人など様々な条件を整えていく必要がある.コミュニケーション能力や集中力,継続力などいくつもの能力が試される.

 

遊びの中でセンスを磨き,そのセンスを仕事で活かすことが理想だ.そして,上記に示したA,B,Cの仕事では,A,BよりもCを〇〇日までに行って,A,Bは□□日までに行おう.そして,〇~△日までは遊ぼうというように自己決定していく必要がある.

仕事(研究)を遊びのように好きなことをしているからと取り組める人もいると思うが,私はそのような境地には至っていない.研究を進めようと思うと,ある程度,気合を入れて頑張ろうと思わないと進められないが,そのような人が大半ではないだろうか. 何か興味のある,やりたいと思うことについて,心の中のわずかな灯があれば,それを少しずつ大きな炎にしていくことが出来ればと思う.

 

 

 

 

集中力を高めるためにⅡ

大学教員,研究者にとって集中力を高めることは非常に重要だ.

 

特に論文を執筆する際には,フロー状態(いわゆるゾーン)にどうやって入るのかが大切だ.

 

私はこれまでに,集中力を高めるために様々な方法を試してきたが,人間,慣れてくると同じ方法では効果が期待できにくくなってくる.

 

そこで今回は,下記の記事でまとめた1~5にさらに情報を追加したいと思う.

 

www.daigakukyoin.com

 

1.チョコレートを食べる.GABAチョコレートに少しの効果を感じる.

  ノルアドレナリンの分泌を抑えて,副交感神経優位にできるらしい.

 

2.集中できるアロマを使う.

  今のところレモン系を試したが一定の効果があるように思う.

 

3.カフェインを摂る.コーヒーや紅茶程度では効きにくくなっている.

  カフェインのタブレットは300円ぐらいで薬局で買えて,摂取するカフェインの量を調整できるのでおススメだ.エナジードリンク系は,糖質も多いし,カフェインが切れた時の反動も大きい.

 

4.脳へのエネルギー源として脂質を摂る.

 脳のエネルギーの大半はブドウ糖と言われているが,血糖値を一定のコントロールすることは難しい.こまめにチョコレートを摂る方法もあるが,虫歯や肥満のリスクも高いし,栄養が偏る.魚やナッツに含まれている不飽和脂肪酸の摂取に効果がありそうだ.

 

集中できないことを自分の責任だけに答えを求めてはいけない.人の行動は環境に左右されることから,考えると環境や人間関係を整えることで,おのずと自らのパフォーマンスが向上するだろう.

 

 

 

 

 

 

 

学会賞を受賞したこと

久々に学会賞を受賞することができた.6年ぶりということになる.筆頭発表者としての受賞は今回で生涯2回目であった.

 

中には何度も受賞される先生もいるが,40歳を過ぎても未だ2回目,しかも国内のみというのは研究者としては3流かもしれない.それでも,私のなかではやってきたことの方向性が間違っていなかったことを確認するには十分な根拠となったし,この学会での仕事を重要視しようと思う動機となった.

私なりに受賞できた理由を分析してみた.

 

・研究の着眼点として,新しい手法を用いた実践研究ができたこと.

 

・今回の学会に関わって数年して運営面で何らかのお手伝いをしたりして,顔を名前を覚えていただけるようになってきたこと.

 

・今回の研究を皮切りに,今後の発展性が見込めるとうこと.

 

これらの3つの理由が今回の受賞につながったのではないかと思う.

 

研究テーマについての考え方は様々あると思うが,私のなかではメインの分野とサブの分野に分けて考えている.メインの分野は,私のなかで最も重要視しているテーマで,これまでも継続的に研究を進めてきたため,科研費等の採択,論文投稿,査読依頼が来るようなテーマだ.もう一つ,サブのテーマは複数あるのだが,今回の研究のように偶然,共同研究者が新しい測定技術を持っていて研究をスタートさせることができたり,私自身のほんの少しの興味から始めたような研究だ.

だが,最近,私のなかで何がメインで,何がサブか,分からなくなってくることがある.あまりにも色々なことに興味があって,色々な分野に足を突っ込んでいるように感じている.そろそろ,この分野では誰にも負けない,というようになりたいのだが,なかなかそうならない.

 

マサチューセッツ工科大学(MIT)教授の利根川進さんは,1987年に生理学・医学の分野でノーベル賞を受賞されているが,脳神経や学習にも高い関心を寄せて研究を進めている.研究テーマの設定についての問いに「自らの好奇心のなすがままに」と回答されているようだ.大変心強いアドバイスだと感じる.日本にいると,この先生はこの分野の大家だとか,ある分野で突出した方が別の取組みをすると最近どうしたんだろうとか,そういう雰囲気を少なからず感じるが,もっと自由に好奇心がなすままに研究を進められるようになった方がいいと思う.

 

 

 

今まで読んだ自己啓発本は役に立っているのか?

大学卒業後から20年近く経ったが,これまで数々の自己啓発本を読んできたと自負している.自己啓発本を読んではやる気になり,一定期間が過ぎるとその内容が記憶から薄れて行き,数か月経過しては別の自己啓発本を読んでやる気になり・・・ということを何十回と続けてきたように思う.

 

そこでこれまで読んできた自己啓発本を振り返り,その内容をまとめることで理解を深め実行に移せるようにしたいと思う.本の主旨と私の理解がずれていることもあるかと思うが,あくまでも私自身の記憶想起のために書いているのでご容赦いただきたい.

 

最も印象に残っているのはスペンサージョンソン著の「チーズはどこへ行った」である.

この本は,自身をネズミにたとえ,チーズは生きていくための餌であり,一つのチーズにかじりつき,残り少しになってもまだそのチーズにかじりつくような生き方をするのか,チーズが少なくなってくる前に,別のチーズを探す旅にでるような積極的な生き方をするのかを例えている.私自身の生き方に照らし合わせると,20歳代30歳代は冒険型の後者であったかと思うが,40歳を過ぎたころから少し前者になりつつあり,そのうちチーズがなくなるのではと恐ろしく感じる今日この頃である.守るものがあっても常に攻める姿勢で人生を渡りたいものだ.大学経営に置き換えると,学生の数が減ってきているのに従来の業務をこなすだけでは発展性がないばかりか,そのうち高校生に選択されない魅力のない大学になってしまうだろう.そうなる前に魅力あるカリキュラムを提案したり,組織を改編したり,興味の沸くような授業を展開する必要があるだろうと思う.

 

次に思い出すのはブライアントレーシー著の「10年かかるところを2年でできる」や「カエルを食べてしまえ」という本だ。前者の本は新入社員時代にギラギラしていた頃に読んだ.未だにその本の付録についていた21つの行動目標のカードを手帳に入れている.もうボロボロになっているが時々見直すことがある.特に印象に残っているのは,「対人」の項目に「周囲の人と接する時は,最も重要な顧客と接する様にしなさい」というところだ.カエルの方は,一番重要であるが嫌な仕事でやりたくない,後回しにしたい仕事をカエルに例え,その「カエル」=「嫌な仕事」を先に食べてしまえ=やってしまえということだ.

 

その他,ドラッカーの「マネジメント」,「プロフェッショナルの条件」,スティーブンコービーの「7つの習慣」,茂木健一郎の「脳を活かす勉強法」シリーズ,和田秀樹の勉強法に関する書籍,ピーターフランクルの頭が良くなる書籍などなど挙げれきりがない.

 

様々な自己啓発本を読んで思うことは,結局のところ行動するのは自分なので自分自身でやり方を見つける事が大切で,自己啓発本を読んでも能力が向上したり,出世したりすることはないと思う.映画を見て主人公になったつもりになるのと似ているのかもしれない.自己啓発本を読むとあたかも,その本に書かれている仕事のやり方を手に入れたかの様に錯覚してしまうのは何故だろうか.

 

イチロー選手はあるインタビューの中で,あまり本を好んで読まないと言っており,その理由として,本には答えが書かれているので,そこは自分自身で考えたいという様な事を言っていた. なるほど,言っていることはよく理解できる.

本という形式ではなくても,人に伝える指導という場面でも同じようなことが言えるのではないだろうか.一番重要な,肝となる部分は自分で考えなければならないが,その自分で考えるきっかけを作ることが指導者に求められることであろう.

そうであれば,自己啓発本も当人が考えるきっかけを与えるものでないと意味がない.これはコンサルと企業,教師と生徒,指導者と選手,上司と部下などの関係であっても同じことがいえるのではないだろか.

 

 そのように考えると,自分で考えるヒントとなった自己啓発本は実際役にたっているかとも思うが,マニュアル的に〇〇をすべき,△△の行動は□□□のようにすべき,というようなものはあまり役に立たないであろう.

 

結論をまとめると自己啓発本に書かれているような内容を参考に,或いは自己啓発本など読んでいなくても,常に自身で考えて行動し,アウトプットを出せる状態になっていることが重要だと思う.

 

  

 

 

 

 

 

新しいことを習慣にするためには

人生を成功させるための重要な要素に継続があると思う.

何事も継続によって成就するということは疑いもない事実だ.

 

例えば「英会話」,「料理の腕前」,「引き締まった身体」など特別な能力を持っていなくても,継続することで手に入れられると思う.

 

しかし,英語をネイティブと対等にしゃべれるようになったり,料理人にも負けないようなディナーを毎日作ったり,真夏の海で裸で引き締まった身体で太陽を浴びたり,することは,普通の生活をしていては難しい.

 

毎日,英会話の学習を行い,毎日,身体を鍛え,毎日,手の込んだ料理を行うことができないことは,「意志が弱いこと」が原因のように思う.

したがって,成功している人は相当な意思の持ち主であると思える.しかし,成功している,或いは成功した人が,強烈な意思を持って相当な努力家かというとそうではないように感じる.つまり,成功している人が,その成功に向けた行動をとるときに,その行動を行うか否かを悩みながら行っているのではなく,自然とその行動を行っているように思う.

 

例えば英会話が上手な人が,英語を勉強するか,TVを見るかの選択をしたり,一流の料理人が包丁を研ぐのをめんどくさがったり,一流のスポーツ選手が日々のトレーニングを行うことを躊躇したりしていなく,上達するための行動を自然と毎日こなしているように思う.

 

ある行動をとるときに確かに意志の強さは重要な要素かもしれないが,意志のみではなく,日々の行動をあたりまえにできることが重要なことだと思う.では,その当たり前の行動として習慣づけるためにはどのようにすればよいのかということが重要だ.

その答えの一つに,行動目標を小さくすることが挙げられる.すなわち,日々の小さな目標を達成することにより,継続を優先させることが重要だと思う.

 

「目標を小さくする」⇒「目標を達成する」⇒「継続する」⇒「継続することにより行動目標を強化する」

 

※ 強化とは,行動の内容をより充実させていくことを意味している.詳細は以下の文中述べる.

 

上記の方法は「小さな習慣,スティーブン・ガイズ著,ダイヤモンド社」を参考にしているが,実際私自身も試してみて,この方法が新しい習慣を取り入れるための行動科学領域で最も重要なように思っている.プロチャスカの行動変容理論の発展版,実践版と言えるかもしれない.

この本で示している内容を如実に表している1フレーズを紹介する.

「始まりを重視し,モチベーションよりも行動を先行させ,小さなステップを積み重ねることが大きな前進につながると信じる人生哲学」

 

 

 もう一つ,私自身が重要視している考え方を挙げる.

 

「できない理由を考えるのではなく目的を達成する方法を考えなさい.」

 

という考え方だ.これは,私が以前勤めていた会社の社訓の一つで今でも大切にしている.

 

「時間がないから」

「お金がないから」

「場所がないから」

「仲間がいないから」

 

などのできない理由を探すと永遠に挙げられる。

 

「時間がないなら,短い時間でどうやって工夫しようか,何かを止めて最も重要なことに時間を使う」

「お金がないなら,どうやってお金を集めるか,お金がなくてもできる方法を探す」

「場所がないなら,場所を作る,場所を探す,移動手段を検討する」

「仲間がいないなら,仲間を募る,仲間に声をかける,仲間に入る」

など色々と工夫ができるはずである.

 

できない理由を述べるのではなく,できることを少しでも実行することが重要だ.少しでも行うと前向きに考えることができ,その少しの実行から大きな行動につなげられる.少しの実行から,その実行が継続でき,さらに実行する内容を濃くしていくことは心理学では「強化」という.この「強化」には意志の力というよりは,少し実行することによって得られた達成感などから,自然に行動が強化されると理解できる.

 

ということで最後にまとめると,私自身は下記の小さな目標を達成すべく行動をしていこうと思う.

 

〇毎日,50文字の文章を書く.

〇毎日,スクワットを10回する.

〇毎日,パター練習を10球行う.

 

この続きは1ヶ月後,1年後,10年後にどの程度,達成できたかまとめようと思う.

 

大きな目標はすばらしいが,重要なのは行動だけ!

 

 

 

 

 

 

 

 

目標設定

2018年もスタートして早いもので既に半月が経過した.

 

私は新年のルーティンとして,この1年の目標を立てて紙に書いて,毎日見えるところに掲示している.

 

今年の目標は,国際学会2つ発表,国内学会3つ発表,論文3本,その他研究推進,学内貢献などである.

 

この立てた目標がどの程度達成できたかは,新年の目標を立てるときに昨年の出来具合を自身で評価している.毎年,達成率は70~80%と言ったところだ.

 

何故,100%,或いは120%の達成を成すことができないのか私なりに自己分析してみたところ,年始の当初に計画していない,すなわち想定外の仕事が入ってくることが挙げられる.例えば,論文の査読,重要な人物にお願いされる仕事,学内外の想定外の雑務などが挙げられる.具体的に昨年度,引き受けた想定外の仕事して学会の理事,評議委員としての活動,助教への研究指導,国際学会の運営委員などが挙げられる.

 

しかし,これらの想定外の仕事は,私自身の仕事の幅,人間関係を広げたりすることもできるので,なるべく引き受けるようにしている.ということで言い訳がましいが目標達成率が100%まで行かないことは私のなかではOKということにしている.

 

最も重要なことは,昨年に何が達成できて何が達成できていないのかを振り返ることであり,次の1年に何を目標にして行動していくのかということを明確にすることである.ということで,既に1年の24分の1が過ぎてしまったが日々,時間を無駄にせず頑張ろう.

 

 

既存の価値観にとらわれるな!!

研究をするものにとって,オリジナリティは重要なキーワードだ.

オリジナリティとは,ウィキペディアによると独創性,独自のものと記載されて,複写、複製の対義語として紹介されている.

 

研究の重要な視点は,今まで誰も思いつかなかったこと,経験したことがないこと,つまり新規性や独創性があるかどうかが重要だ.

では独創的な研究はどの様にしたら可能になるのかは興味深いテーマだ.

この疑問に対して私は明確な答えを持っている.

 

独創的な研究を行うには独創的な発想が必要だ.

さらに独創的な発想をするためには,独創的な発想ができる環境が必要である.

 

ではその環境とは何かというと,それは人とは異なる環境に自分の身を置くということだ.発想を変えるには自分の生活環境を変える必要がある.つまり,毎日同じ電車,同じ道,同じ建物,同じ部屋,同じ人間関係の中にいてはなかなか新しい発想をすることは難しい.

したがって,研究に行き詰ったり,新しいアイデアが浮かばないときは自分の回りの環境を変えることから始める必要がある.逆にいうと環境さえ変えてしまえば,脳に新しい刺激が入り新しい発想が生まれるといえる.

 

数年前だがあるゲームメーカにて仕事で打ち合わせる機会があった.その打ち合わせ場所はゲームメーカの社内であったのだが,会議室ではなくオープンスペースで3~4階ぐらい上から人工の滝が流れていた.ともすると滝から流れる水の音で会話が聞き取りにくい程なのだが,いつもとは異なる雰囲気で打ち合わせをすることができた.

別の某大手製薬メーカを見学をした際には,広大な敷地の一角に屋根の上から野菜が育っている木がある部屋があった.

 これらは,全て新しい発想をするために環境を人工的に変化させている例だ.

 

話は変わるがノーベル賞受賞者にかなり近い位置にいる有名な研究者の講演を聞いた際に,その方は京都大学では落ちこぼれであったが米国に留学して一気に才能が開花したとおっしゃっていた.この例は環境を変えることによって,人の行動や発想が変わるということだと思う.

 

したがって,既存の価値観にとらわれることなく,思い切って新しい環境に身を投じることで化学反応が起こり,新しい発想で仕事をすることができると思う.