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大学教員として生きる道

著者は40歳代の都内中堅私大の准教授です。大学教員になるまでの経緯、日常の出来事などを記録します。

教育と研究,どっちが大事?

大学に勤めていると様々な仕事が舞い込んでくる.学内の各種委員会,担任,サークル顧問などは,私が大学教員になりたいと思っていた院生時期には想像していなかった.

 

教員の校務のなかでも議論になるのが「教育と研究どっちに重きを置くのか」ということがある.

若手研究者は,研究を進めたいから大学教員になろうと思う人も多いと思うが,教えることが好きだから大学教員になりたいという人もいるだろう.或いは、自分が専門とする分野の後進を育てたいという人もいるだろう.

 

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先日、FD研修に出席したのだが半ばイヤイヤ、大学教員として約10年弱教壇に立つ身として今更、授業の進め方など他人に説教されたくないと思っていた.おそらく,その場にいた多くの教員もそのように感じていたのではないだろうか.

 

いや,蓋をあけてみればこのFD研修に出席したことにかなり意味があった.内容はともかく,他の先生の授業を受講できたことに価値があった.この人は研究をしたくて大学教員になったのだろうと思う先生や,この人は教育を重視しているのだろうとか良くわかった.どっちに重きを置くことが大切なのかということはあえて議論するまでもなく,どちらも大切という結論になるので控えるが,あまり教えることに興味がないのか,下を向いてメモ帳のようなものをボソボソと読むだけの先生の授業には吃驚した.斯くいう私自身,板書の使い方や話し言葉の抑揚など反省すべき点を指摘された.

 

研究重視の教員にあえて,ひとこと言うとすると給与はどこから出ているのか考えてほしい,ということである.つまり,科研費で数百万,数千万獲得しようが,私学の場合,学生1人から約年100万円の授業料等が大学に収められているので,1年生の学生1人が退学すると大学として約400万円の損出がある.もちろん,研究費の獲得により専門分野の研究を進めることが大学の価値を作り出しているとすると,そのことはお金には換算できない価値があり重要なことは良くわかる.それであれば,その専門性を学生教育にて還元しなければ意味がないであろう.

一方,研究をあまりせずに学生教育ばかりに重点を置いている教員にひとこと言うとすると,ここは大学だよということである.大学卒業後,修士課程,博士課程を経て,さらにはPD,助手,研究所などを経て漸く掴んだ崇高な職域であることを認知して欲しい.大学教員になる前に受けた教育にどれだけの公的な支援を受けているのかということも考えなければいけない.但し,矛盾しているようだが最近の学生をみていると基礎学力の向上や一般常識を身につけることに教育の時間を割かなければいけない事情もあることも良くわかるのだが..

 

 

はじめの議論である教育と研究の重要度だが,これは大学のレベルや専門分野にもよるであろうが,大学教員である以上,自身が進めた研究成果や学会等で収集した最新の情報を学生教育によって次の世代に還元しないといけないことには間違いないであろう.基礎学力の向上や一般常識の教育に大学教員の時間が割かれるということは必要なことかもしれないが,根本的には間違えている.国策としては小・中・高の教育を充実させ,大学では専門性を高める教育が必要であると思う. 

 

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