大学教員として生きる道

著者は40歳代の都内中堅私大の准教授です。大学教員になるまでの経緯、日常の出来事などを記録します。

任期付き助教について

任期付き助教であった時に,旧友になんの仕事しているの?と聞かれ「今,にんきつき助教だよ」というと,人気がある教員なんだね・・・と言われ,いやいや「人気があるのではなく,任期があるのだよ.」と言って笑い話になったことがある.

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さてこの任期付き助教の学内での立場だが,大学によって様々異なる.私自身も任期付助教をいくつかの大学で経験してきたが,研究個室があって,准教授や教授とほぼ同じ扱いの大学もあれば,教授の傘下で机一つだけ研究室の端に確保されていたり,中学や高校と同じ職員室のようなところで過ごしたこともある.

 

今回はこの任期付助教について話をすすめたい.

 

大学教員をしていると様々な仕事を引き受ける場面があるが,どこまでが仕事かその範疇に悩むことがある. 

最近,微妙に感じるのは助教への研究指導だ.

 

助教文部科学省によって下記のように定義されている.

助教(じょきょう)は、日本の高等研究教育機関において、学生に対する教授、研究指導、または自らの研究に従事する教員のことであり、2007年4月1日より正式に導入された。 大学の場合、現行の学校教育法では、教授、准教授、講師の次の職階に位置する。

 

しかし,実際には教授の補助であったり,授業補助をおこなう場合もある.これは大学によって異なることがあるのだという.先に挙げたように実際に私も助教を経て准教授になったので大学によって助教の業務内容が異なることは身を持って経験している.助教の仕事が大学によって異なることは下記のJrec-inの公式サイトに紹介されている.

 

Case.7 助教なのに!?

 

私が勤務する大学では,多くの大学と同じように助教に任期期間が定められているため,助教の任期更新には一定の業績が必要である.その業績は本人が努力して自身の研究テーマに沿って学会発表したり,論文を書く必要がある.しかし,本人にその能力が著しく欠損している場合もある.そもそも本来,助教に採用される時点で一定の研究能力があることが前提なのだが,助手と助教が混同していた時代の遺産もあり,研究能力が全くない人物が助教に採用されている例もある.

 

学部生より低レベル,統計が分からない,英語どころか日本語,専門用語が通じない,期限を守らない,我が強い,などなど全く困った助教を指導するのが私の仕事の一部になっている.

 

本来,研究方法論は学生時代に学ぶべきだが,それを学ぶ機会がなかっただけだろうと割り切って研究指導している.聞いた話によると部下に仕事を強制するのは,パワハラになるらしい.つまり「任期を更新するためには論文を書け」と口に出して言うことは「アウト」のようだ.しかし,部下に仕事を教えないこともパワハラになるらしい.つまり論文の書き方を教えないことで任期切れになることもパワハラらしい.じゃあどうすりゃいいの・・・

 

一方,平成26年中央教育審議会がまとめた「大学のガバナンス改革」では,人事に関する学長のリーダーシップとして「教授会での教員業績審査に際しての利害関係者の関与の有無や,教育研究業績が十分であることを確認しているか,といった選考の手続や,判断の適正性の確保に努めるべきであり,適正でない場合には,教授会に審査を差し戻すことがあってよい」としている.

「大学のガバナンス改革の推進について」(審議まとめ)(平成26年2月12日 大学分科会):文部科学省

 

一体全体,私が助教の研究指導をする必要があるのか,の答えは深い深い闇の中で私の心の底にある.

本来,研究の進め方など基本的なことは大学院で学ぶべきことだ.

最終的には本人が頑張るしかないのだが,頑張る気があってもやり方が分からないのであれば手を差し伸べようと思う.